上の写真は、私の妻が出資して製作されたドキュメンタリー映画「沖縄 うりずんの雨」のDVDである。
以下に、私の映像関連活動実績の全貌を記す。
その前に、記憶がなくならない内に説明しておきたい作品がある。<映画作品>の「現の実朝」、16mm50分の自主製作作品である。当時私は、映画監督を夢見ていて、慶応大学入学時から製作の準備をしていた。スタッフとして使えそうな人と友人を増やし、お金を貯めた。
4年になって、鎌倉・浄明寺の1戸建てを1か月借り切り、最大30名のボランティアの協力の下で撮影を行った。現像は、面倒見がいいと勧められたソニーPCLである。大学卒業後、ここに入社するとは夢にも思っていなかった。不思議な縁である。
鎌倉在住の千早さんの空き部屋を貸していただいて、初めて自分でポジ編、ネガ編をした。
ポジプリントを焼いてもらい、ネガを返してもらったが、約100か所黄色いテープでつなぎ補強してあった。現像を担当した細井さんは、セメントがはがれてしまっていて、普通なら突き返すところだが、学生さんだったので直してあげたと言った。感謝である。
代々木の音楽スタジオで友人のバンド「スキャンダル」の収録をして、川崎の録音スタジオでアフレコで磁気録音し、1本だけポジプリントができた。
上映は、鎌倉を皮切りに、東京、長岡、新潟で行った。約1000人くらいの人にみてもらったが、多くの人から「よく分からない」という評価をいただいた。まさに愚作であった。
私自身、この経験から監督の器ではないと判断し、以降プロデュース側になりたいと思うようになった。結果的に、この失敗は大きな教訓となった。
因みにスタッフは、以下の通りである。笠井さんは、「世界ふしぎ発見」の撮影を長年担当している。高橋さんは、CAL入社して制作をしていた。片岡さんは一時「デビアスダイアモンド」の劇場用CMに出演していた。
製作・監督・脚本:前沢哲爾、脚本・助監督:漆川麻夫、撮影:笠井知彰、撮影助手:高橋誠、音楽:スキャンダル、主演:片岡弘毅、山崎弥生
<ハイビジョン制作作品> (17作品) P./Producer D./Director H./Hivision Producer ★は右の写真順
90年「HD VIDEO IMAGE OF PROTOZOA」 (微生物顕微鏡撮影) P. 制作協力:東京シネマ新社 第31回国際科学映画祭 科学技術庁長官賞受賞 ★①
「HOUSE QUAKE 」 (早川和良演出) P. HDLD市販用作品 共同製作TYO
「芹沢銈介・心と技」 (静岡市立芹沢銈介美術館) P. 制作協力:桜映画社
「BACK TO THE 花HIVISION」 (花と緑の博覧会記録) P.D. 12年ぶりに私が編集。エレクトロ二クスショーで皇太子が鑑賞。
91年「RECURRING COSMOS -Organic image-/ -Inorganic image-」 (液晶現象アート) P.当時岡山大学病院長だった山内逸郎氏の技術で「液晶現象」を顕微鏡撮影したアート作品 THE INTERNATIONAL ELECTRONIC FILM FESTIVAL '91 VIDEO ART 部門 優秀賞受賞 ★②③
「HDTV APPLICATION IN INDUSTRIAL JAPAN」 (ハイビジョン普及支援センター) P.
「ヤング・ファーブル・ミクロの旅」 (千葉市文化センター) P. 制作協力:太陽企画
93年「VACUITY IN NATURE 」 (伊藤豊雄の建築) P.制作協力:テレビランド
「PURPLE SHADOWS」 (倉俣史郎のデザイン) P.制作協力:テレビランド THE INTERNATIONAL ELECTRONIC FILM FESTIVAL '93 産業応用部門 最優秀賞受賞
「長良川・水の詩」 (岐阜県) P. 制作協力:グループ現代 第二回地球環境映像祭 奨励賞受賞 ★④⑤
94年「大雪山/クイズに答えて、大雪登山」(旭川市博物館) P. マルチメディア・インタラクティブ・インテグレーション・ハイビジョンシステム
「かんぽの宿・電子カタログ」 (ハイビジョン推進協会) P.
94年「自然のなかのミクロファミリー」 (福島県原子力センター) P.制作協力:メディアム
「世界祝祭博覧会」 (三重県) P. 制作協力:サウンドエイト
「岐阜国際学生ファッションコンテスト'94/時代を駆けるクリエーターたち」 (岐阜県) P.制作:NHK名古屋ブレーンズ
96年「岐阜国際学生ファッションコンテスト'96/技術と才能のコラボレーション」 (岐阜県) P.制作:NHK名古屋ブレーンズ
97年「岐阜国際学生ファッションコンテスト'97/Oribeism makes Dynamism」 (岐阜県) P.制作:NHK名古屋ブレーンズ
<映画作品> (10作品) P./Producer D./Director H./Hivision Technical Producer
78年「現(うつつ)の実朝」製作・脚本・監督 (16mm 50分) P.D.
88年「帝都物語」(実相寺昭雄監督) H. 日本初の本格的ハイビジョン合成作品
89年「舞姫」 (篠田正浩監督) H. 冒頭のスエズ運河シーンを明治丸と東京湾と鳥取砂漠を合成処理
「風の又三郎 ガラスのマント」 (伊藤俊也監督) H. 又三郎の夢のシーンをハイビジョンで幻想的に処理
90年「夢」 (黒澤明監督) H. 「鴉」という話の中で、マーティン・スコセッシ扮するゴッホと寺尾聡が絵画の中に彷徨うシーンをハイビジョン合成
「大霊界」 (丹波哲郎総監督) H. 全体の60%をハイビジョン撮影・合成し、霊界を表現。
91年「八月の狂詩曲」 (黒澤明監督) H. リチャード・ギア主演の長崎ロケ作品
92年「まあだだよ」 (黒澤明監督) H. 黒澤監督の遺作
2011年「きょうを守る」(ドキュメンタリー 菅野結花監督)制作協力「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」入賞・新人賞受賞
15年「沖縄 うりずんの雨」(ドキュメンタリー ジャン・ユンカーマン監督)製作「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」大賞、キネマ旬報「95年文化映画ベストワン」、毎日映画コンクール「95年ドキュメンタリー映画賞」受賞。
<イベントプロデュース> P./Producer T./Technical Producer H./Hivision Technical Producer S./Speaker
83年「ナムジュン・パイク展」(東京都美術館) T. 世界的ビデオアーチストの日本初展覧会をソニーが支援。200代以上のディスプレーを持ち込み、パイク氏の作品を創造再現した。
84年「ブライアン・イーノ展」 (ラフォーレ赤坂) T. 初アンビエントミュージックのイーノ氏の展覧会。緑の草花の中にディスプレーを配置して、長時間体験形の空間を創造した。
90年「浜田省吾コンサート」(5月17日HV Crosed circuit・駒沢大学講堂) H. ハイビジョン初のコンサート中継。
91年「黒澤明と若者たちとの対話」(4月11日ソニーPCL 40周年記念イベント・朝日ホール)P.
「東京国際映画祭 国際HDTVシンポジウム」 (10月5日6日シネセゾン渋谷) P.S.
93年「東京国際映画祭 国際HDTVシンポジウム」 (渋東シネタワー) P.S.
94年「吉川晃司3D R&R SHOW 」(HV 3D Closed circuit) H. 横浜のスタジオでのライブを3D中継した。
「AVEX RAVE '94 」(HV 3D Closed Circuit ・東京ドーム) H. 1台5000万円のハイビジョンカメラ15台を動員して、3Dで全国に配信した。★⑥⑦⑧⑨
94年「京都国際映画祭 国際HDTVシンポジウム」 (渋谷ビーム) P.S.
「ロジャー・コーマン講演会」 (NHK青山荘) P.S.
「ぴあ FILM FESTIVAL ハイビジョン シンポジウム」 (日比谷シャンテ) P.S.
95年「日本・カナダ国際共同制作セミナー」 (カナダ大使館) P.
「東京国際映画祭 ハイビジョンフェスタ '95」 (渋谷ビーム) P.S.
97年「東京国際映画祭 ヤングシネマゲストを囲む会」 (東急ゴールデンホール) P.
98年「東京国際映画祭ジェレミー・トーマスを囲む会」 (東急ゴールデンホール) P.
99年「映文連 プロデューサーのための DVD セミナー」如水会館)P.S.
「日本・韓国プロデューサーセミナー」 (NHK青山荘) P.S.
2000年「映文連 デジタルマスターの提案」(如水会館)P.S.
「フィルムコミッション設立推進全国シンポジウム」(フジフイルム本社ホール) P.S.
01年「日韓映画共同製作セミナー」(韓国大使館文化院)P.S.
「カナダ・ロケーションセミナー」(カナダ大使館)P.S.
「全国フィルムコミッション連絡協議会設立記念セミナー」(パシフィコ横浜)P.S.
02年「フィルムコミッショナーズ養成セミナー」(神戸・国際会議場)P.S
「NCFプロデューサーズ・サバイバル・ワークショップ」(デジタルコンテンツ協会)
「東京国際映画祭Nippon Cinema Forum」(渋谷・文化村ギャラリー/ル・シネマ)P.S.
「トウキョウシネマショー」シンポジウム(渋谷・オーチャードホール)P.S.
03年「読売新聞セミナー・映画で地域創造」(天草国際ホテル)P.S.
「文化庁メディア芸術祭」シンポジウム(東京都写真美術館)P.S.
「全国フィルムコミッション連絡協議会総会セミナー」(北九州市プリンスホテル)P.S.
「FCセミナーin 盛岡2003」(盛岡オデッテホール)P.S.
「文化庁/全国フィルム・コミッション・コンベンション」シンポジウムプロデュース 東京国立近代美術館フィルムセンター P.S.
「文化力としてのフィルムコミッション」日本を代表する映画関係者を招きシンポジウムを開催。経済産業省、国土交通省、文部科学省担当者と映画関係者とで、「ロケーション規制緩和」についての討論会をプロデュース及び司会。
04年「アジア・フィルムコミッション・シンポジウム」(松本市・Mウイング) P.S.
「アジア・フィルムコミッション・シンポジウムFC協議会とプサンフィルムコミッション主催、文化庁共催で、韓国、中国、ロシア、ベトナム、マレーシア、インドネシアからゲストを招いて、アジアの映像振興に関するシンポジウムをプロデュース。
「文化庁第2回全国フィルム・コミッション・コンベンション」(六本木・オリベホール) P.S.日本でビジネスを展開するオープンセット運営者を招へい
05年「文化庁第3回全国フィルム・コミッション・コンベンション」(六本木ヒルズ)P.S.海外製作者による日本撮影事例研究として、韓国、香港、カナダからゲスト招へい
06年「文化庁第4回全国フィルム・コミッション・コンベンション」(六本木ヒルズ)P.S.
07年「文化庁第5回全国フィルム・コミッション・コンベンション」(六本木ヒルズ)P.S. 歴史文化地域におけるフィルムコミッション活動をテーマとして、ウイーン、エジンバラからゲスト招へい
08年「文化庁第6回全国フィルム・コミッション・コンベンション」(六本木ヒルズ)P.S.4
Facebookでのお知らせ、驚きました。僕もここ数年、残り時間がどんどん気がかりになってきています。アチラでも書いたように、前澤さんたちとの出会い、そして記号論研究会の立ち上げは、僕の人生を決定的に方向づける事件でした。そしてそれを介して混ぜていただいた「現の実朝」の撮影合宿。麻利と出会ったのも、あの合宿の最中、彼女が友と共に遊びに来た時で、その後、三田祭で千早さんを介して再会し、彼女も記号学研に加わった。その後の人生は、前澤さんのようなしっかりした道を歩めず、ずっと獣道でしたし、前澤さんの経歴や旅歴を見ると、羨望の限りですが、それでも、お互い、かけがえの無い時を過ごしてこれたでしょう。
人生時間というのが、これほど短いとは、あの頃は年寄りから聞いても思いもよらなかった。ほんとうに夢うつつの一幕。とはいえ、何が起こるか分からない。前の病の時のように、いつの間にかまた、「もう少し」というオマケが付きますよう。。。
そうそう、このブログのテーマ「現の実朝」はネット映像にはなっていないのですね。
ちょっと眺めてみたくもあります。あの頃は今のようにスマホ常備でもなく、ご一緒の写真も無いのがさみしい。できれば、前橋に伺いたいけれど、今も余裕のない生活ゆえ残念ですが、ともあれ、ほんとうに ありがとうございます。