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「チャン・イーモウ演出のスペクタクル野外舞台は必見」~世界を感じる事実の断片(4)

中国は広い。面白い。旨い。旅行する所に事欠かない。時間があれば、いつも中国に行ってしまう。しかし、ただの観光名所めぐりはしたくない。テーマが必要だ。そんなことから、中国一級の聖地をできるだけ見ておこうと思いたち、2012年3月に山東省泰山、12月福建省の武夷山に行った。中国留学経験のある大学卒業生がたまたま時間を取れるとのことで、交通費・宿泊費を負担する代わりに通訳をお願いした旅だった。

成田から広州経由で武夷山空港に着き、タクシーで街中のホテルへ移動した。近くの銀行で中国元の両替をして外にでると、遠くの方から何やらパレードが向かって来る。近くの人に何かの祭りかと聞いたら、毎日あるパレードだと言う。装飾した車と衣装の付けた若者が長い列を作って練り歩く。長さ300m、300人くらいの規模だ。びっくり。

これが、「印象大紅袍」の宣伝パレードだった。何か得をした感じ、だから旅は楽しい。何とチャン・イーモウ演出による舞台劇だという。彼は中国を代表する映画監督であり。私は彼の映画の大ファンである。その彼が08年北京オリンピック開会式の総合ディレクターを担当、美しく見事な演出に私は度肝を抜かれた。

早速、劇団事務所に行きチケットを購入、開演の8時を待った。夜になると会場近くは、中国人団体客であふれている。入場して驚いた。座席は1000人近く、ゆるいスタンド状になっている。大きな円の3分の1を使った廻る客席である。演目は、その地域の伝説や史実などから作ったものらしいが、中国語でよく分からない。それでも楽しめるのは、スケールの大きい舞台設計、200人を超える出演者、見事なライトアップなど、言語がわからなくても十分だ。野外で行われる特徴は、背後にある風景を取り入れていることである。ここの場合は、「九曲渓」という清流に舟を浮かべ、行き交い、効果的に演出する。客席が回転して、違った風景と演技、舞踊を見せつける。只々圧倒された。そして、この「印象」にはまった。

 

杭州市の「印象西湖」は、市の真ん中にある風光明媚な西湖のほとりに舞台が作られている。ここは、1000人を超える固定席で、夜2回上演される。舞台は、西湖そのものである。冒頭、かなり遠くの方から、スポットライトで映し出された一組の男女が湖面を歩いてくる。観客は最初、湖面を歩くファーストシーンでどよめく。その後、すべて湖上で進行する。小舟が主演男女を乗せて進んだり、きらびやかな妓楼船が近づいたり、水中から大きなトライアングルのような仕掛けが持ち上がったりしながら、一方で200人の集団演舞が行われる。誰でも一度は見て損はない。

そして本年9月、浙江省・舟山群島の普陀山を訪れた。普陀山は、中国の仏教聖地であり、私の聖地巡りで必須の場所である。かつ、普陀山に行く人のためのホテル、食堂がある地域に、「普陀印象」があるのだ。何が何でも行かねばならぬ。実は昨年8月、ここに行く計画を立てたが台風接近のために中止した。今回リベンジだが、また台風が接近してきた。成田空港を9時30分に出発して、上海浦東空港に12時着、タクシーを急がせて上海南バスターミナルに行く。13時30分の直通バスにぎりぎり間に合って、普陀ターミナルまで5時間余りのバスの旅である。開演は20時30分、ここの演目は悩む人々が仏に救われる話。観客席は武夷山と同じ回転式、キャパ800人のところ、客は150人くらいだった。ここの背景舞台は、巨大な岩と山に立つ寺院である。傾斜地を活かした演出である。出演者は200人以上だった。今日は赤字だろう。翌日の帰途は、上海まで船で帰る予定だったが、台風のため欠航、往路と同じバスで上海に戻った。

 

まだ、「印象」シリーズは3か所しか訪れていない。その3か所は、それぞれ川、湖、岩という風景を活かし、舞台化している。室内劇とは全く違うスケールを体感できる。これが、大きな特長だ。これから順に廻りたいと思っている。

判明している他の「印象」は以下の通り。

広西チワン族自治区陽朔「印象劉三姐」、雲南省「印象麗江」、重慶市「印象武龍」、海口市「印象海南島」。さて、どこから行きましょうか。

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