Blog世界を感じる事実の断片

「変わってしまうのか、心地よいキューバ」~世界を感じる事実の断片(1)

今まで85か国に訪れ、様々な体験をし、たくさんのことを学んだ。あと3年で100か国を目指していたが、実現するかどうかは自分の健康状態次第である。

今回から、シリーズ「世界を感じる事実の断片」を断続連載する。コンセプトは、実際の体験に基づいた事実しか述べないこと、そして個別を全体と混同して全体を知ったようなことを言わないこと。

オバマ大統領が、キューバとの国交回復を図った途端、20世紀の歴史的ヒーロー、フィデル・カストロが逝った。このところ、毎日マスコミが取り上げている。私は2007年3月、一度だけキューバに行ったことがある。実に心地よい、また行きたい国だった。

訪問の目的(大義名分)は、キューバの映画機関、映画芸術産業庁(ICAIC)と意見交換すること。誰に頼まれた訳ではなく、自分でアポを取り、責任者を訪ねた。日本の映画状況を説明し、キューバの状況を聞き、何か協力できることがあれば進めるという気軽なミーティングである。国にお金がなくて、1年に3本も製作できればいい方だ、という。

日本の製作本数にはどの国でも驚かれる。日本の映画関係者は、お金がなくて作れないと愚痴をこぼすが、他の国に比べれば比較にならないほど恵まれているといつも思う。

ホテルはハバナ中心部、アメリカの議事堂そっくりの建物の目の前だった。部屋に入って驚いた。タオルアートのお出迎え。枕チップをはずんだら、翌日はもっと豪華になった。

ヘミングウエイ「老人と海」の舞台となった漁村に行くため、ホテルからタクシーに乗った。メーターがなく、言われるまま15ペソ(約1500円)支払った。漁村近くの岸壁で釣りをしていたら、警備員が近づいてくる。注意されるかと思いきや、あっちの方が釣れるよとにこやかに教えてくれた。帰りのタクシーは、メーター付で安心してホテルに戻ったが、20ペソだった。今までメーターより安いタクシーに乗った経験がなかった。色々な場面で「拝金的でない」印象を受ける。

夜の路地を歩いていても、危険な感じを受けない。どこからか音楽も聞こえてくる。家の前に座ったおばさんが、「チノ!」と声をかけてくる。「ノン、ハポネ」と応えると、「オー、ハポネ」と笑顔で繰り返す。人々は確かに貧乏だが、幸せそうに見えた。

キューバは経済的に苦しい国だが、教育費と医療費が無料、経済大国ニッポンでは、なぜできないのか? 私が70年に入学した国立大学の授業料は年間12,000円、現在535,800円は何と44倍、格差を助長する象徴である。

 

5 comment
  1. キューバ、すごく行きたい国のひとつです。豊かさはGDPじゃないとつくづく感じました。日本は世知辛いですね。
    ユニークなタオルアートに癒されました。

  2. ありがとうございます。行くのなら、できるだけ早めに行かれることをお勧めします。アメリカからの直行便などが飛んだら、もう現在のキューバはなくなります。私は、メキシコ・カンクンからハバナに行きましたが、カンクンでのアメリカ人の我が物顔の騒ぎ方には、強い憤りを覚えました。カンクンでは、バス内でも、市内でも、ビーチでもばか騒ぎです。近くて安くて騒げるところに真っ先にいきます。きっとその影響で、人々が寄り添う社会でなく、拝金主義になります。ぜひお早めに。

  3. そうなんですね! カンクンもいつかは行きたいと思ってましたが、考えてしまいますね。
    キューバへの直行便は時間の問題でしょうか、、、。トランプさんになったら先に延びるかなーと、おかしな期待をしています^_^

    1. 申しそびれておりました。甲府在住の本田です。Facebookのアカウントは「Izzy Honda」です。

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