LIFE ARTs

Project 1 Perfect Safety Car

絶対交通安全車

還暦を機に、全国47都道府県を回り、1400の神社に参拝していただいた「交通安全ステッカー」を1000枚貼ったホンダ・ステップワゴン。

<何がLIFE ARTなのか?> 1枚貼ったら当たり前、1000枚貼ったらアート?

この車で、南東北、関東甲信越、東海、北陸まではまわりましたが、それより以遠の場所は、新幹線もしくは飛行機で行き、レンタカーを借りました。北海道は、3泊4日と5泊6日、四国は4泊5日、九州は4回に分けて訪れました。

「交通安全ステッカーの種類」

車両の背面部には、「反射板」「マグネットシール」「白色系反射シール」など、ここにしか貼れないものが貼ってある。
反射板は、キラキラしており、後続車のライトによって反射する。基本的には「追突防止」である。形状は、横長10cm~20cm、縦4cm~8cm、厚さ6mmほどである。色は、オレンジ、赤、緑が主流だ。その板を横に使い、黒文字で神社名が罹れている。収集当初は、反射板も集めたが、デザイン性が低く、少したってから集めなくなった。この車両で金属板を使用しているのは背面部だけなので、「マグネットシール」はここにしか貼れない。のり付けシールより、汚すことなく簡単に剥がせるので便利だが、磁力が衰えてくるとはがれやすい欠点もある。キラキラする「白色系反射シール」もここしかいけない。

上の写真の「宇治神社」「井之頭弁財天」などが四角いプレートが反射板、ホンダのマークの下に並ぶ「今尾神社」「大石神社」などがマグネットタイプ、バンパーに並んで貼ってあるのが「白色系反射シール」である

収集を始めた頃のシールがランダムに貼ってある。ナンバープレートの左側に初シール「摩利支天」がある。これは金属版で、多くの参拝客が訪れる有名な寺などで得られるが、最も古いタイプである。プレート右には、毘沙門天の「毘」をデザインした上杉謙信の「春日山神社」とその下に武田菱の「武田神社」がある。

ステッカーは材質、形状、色彩とデザイン、神社の特色により、様々なものがある。ボンネットの上には、楕円形と横長菱形を貼ってある。楕円形のものは、クッション材が入った柔らかい材質のものが多い。この中には、「Safety drive」という英語版もいくつかある。

最も多いタイプは、円形ののり付けシールタイプである。神社のマーク、たとえば中心に「三巴」を置き、周りに〇〇八幡神社とあしらう。他に、菊花、葵、鳩、梅花、桐など千差万別である。

円形の他に、菱形、扇形、鳥居形、花びら、エンブレム形など複数あるが、そのほかに神社独自でデザインした形状のものも多い。全国の各神社は「出雲大社」を除き、それぞれ自由にステッカーを制作している。宮司さんのアイディアを駆使したものも多い。これが魅了された魅力である。

 

「なぜ交通安全ステッカーを集めるようになったのか」

05年大学に教員採用され、学生と共にフィールドワークするために、ホンダ・ステップワゴンを購入した。11年2月、雪道でスリップしてガードレールに衝突、前部が大破して廃車になったので、再びステップワゴンを購入した。還暦を過ぎて今まで神頼みなどには無縁だったが、たまたま東京・アメ横の摩利支天に行った際、初めてステッカーを買った。その後、どこかに出かけた時に、社寺に行き、求めるようになった。そして何枚か車に貼っている内に、デザインの面白さを感じ、ステッカーを得るために動くようになった。昭文社の県別地図を購入して、赤字で記載している著名な神社に行った。しかし、必ずステッカーが置いているわけでもなく、空振りになることもあった。

「どうやって短期間に集めることができたのか」

本格的に収集開始したのが、2012年8月からである。糖尿病でいつか失明するかもしれない。できるだけ早めに集めようと考えた。その方法が以下の通り。

① 行ける日程を決め、対象の地域、県を決める。
② インタネットでその県の自治体ごとにキーワード「神社」で検索する。
③ 検索結果の中から電話番号のある神社を選び、住所も含めリストアップ。
④ その表を基に、順番に電話をしていく。
⑤ 電話に出なければ外す。いつもいないと判断する。3割は出ない。
⑥ 「交通安全ステッカー」は授与品にございますか、と聞く。半分以上がない。
⑦ それは、シールタイプか反射板か?と聞く。シールのみ収集対象。
⑧ 社務所はいつ開いていますか?と聞く。小さな神社は普通開いていない。
⑨ 確実にいただける時間をアポ取りする。不明の場合、前日に電話。
⑩ 当該地域の参拝神社を整理して、県別地図にマークする。
⑪ 開始時間からどう回れば効率的なのかを軸にルート作成する。
⑫ 空港、駅で小型のレンタカーを借り、ルート順番に目的地を登録して出発。
⑬ どこまで行けるか不明なので、「低価格ビジネスホテル」に当日飛び込む。
⑭ カーナビは大体信用するが、近くに行ったら神社の案内看板で行く。
⑮ 神社に到着。必ず参拝し、社殿や特徴の写真を撮り、シールをいただく。

県別で100件電話して、目的のシールタイプがあるのは、10件足らずである。

「神社詣で」での感動

単にステッカー収集の旅ではあったが、そこにはたくさんの出会いがある。100人以上の宮司さんと会話をしたことも珍しいだろう。いくつかのエピソードをご紹介する。

宮城県の神社は、「切り絵」が盛ん。

社殿の中を案内してもらうと、美しい切り絵が飾ってあった。宮城では正月、氏子に配るために、1か月以上かけて、宮司さんが毎日切り絵を切っているという。独特のデザインは神社によって異なる。宮城県神社庁編集の書籍も出版されている。

大阪府高石市にある等乃伎神社は最も多品種

普通、ステッカーは1種類、多くても3種だが、ここは違った。蝶や山車などのデザインがあり、それぞれ何色も作られている。全部はとても購入できなかったので、蝶2色いただいた。

祝詞をあげていただいた牛窓神社

岡山県瀬戸内市のこの神社に着いたのは、もう夜だった。約束の時間を過ぎていたので、早々に引き揚げようとしていたら、住所と氏名を書くように言われた。拝殿の前に行くと、私の名前と住所を織り込みながら、10分近くの祝詞をあげていただいた。